分析・海洋化学-創造から展開・統合まで

海底などの現場で観測を行う装置を開発するためには、(1)測定原理の選定と最適化、(2)深海向けの耐水・耐圧設計と動作試験、(3)装置化、(4)現場運用、(5)実海域データ取得、という各ステップを踏んで行く必要があります。インベンション(発明)の段階に含まれる(1)(2)のステップは、生産・販売を生業としない大学という組織の特性上で重要なステップとなります。測定原理の選定と最適化は分析科学、耐水・耐圧試験は工学的な要素を含みます。当研究室の強みは、耐圧試験に関する機器を常備していることです。右の写真は、水深5,000m相当の水圧をかけることができる耐圧試験水槽です。直径15cm、長さ50cmの耐圧容器の加圧試験が可能です。耐圧水槽には6ピンの耐圧貫通コネクタが取り付けてあります。この貫通コネクタを通して、内部の装置に電源供給することや、内部の装置からデータを吸い出すことが可能です。また耐圧試験水槽は水槽に水浴させることができるため、温度試験も可能です。

右の写真は光学的な分析のための、耐圧観測セル付分光光度計です。水深3,000m相当の水圧をかけながら、試験溶液を耐圧観測セルに入れることができます。耐圧観測セルには石英の窓がついていて、この窓から色彩や、装置を変えると蛍光強度、発光強度などの観測をすることができます。

 

また、忘れてはならないのが測定対象の選定です。その測定対象において、本当に新しい装置を開発する必要があるのか、別のもっと優れた測定方法・測定項目が存在しないか、熟慮する必要があります。ここでは、現場観測システムが必須であると判断した3つのケースを紹介します。一つ目は海底熱水活動探査用システム開発です。これは文部科学省受託研究:海洋資源の利用促進に向けた基盤ツール開発プログラム (通称"基盤ツールプログラム”)での開発内容です。二つ目は海洋中層ブイ向け観測システム開発です。これは(独)科学技術振興機構(JST) 先端計測分析技術・機器開発プログラムでの開発内容です。三つめは

MEXT受託研究

文部科学省受託研究
海洋資源の利用促進に向けた基盤ツール開発プログラム
「海底熱水鉱床探査の為の化学・生物モニタリングツールの開発」 

JST先端計測

科学技術振興機構(JST)

先端計測分析技術・機器開発プログラム 環境問題解決領域「機器開発タイプ(調査研究)」採択課題
『海洋酸性化問題解決に向けた海中フロート用4次元化学観測技術の調査研究』

SIP海のジパング計画

内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)

次世代海洋資源調査技術(海のジパング計画)研究開発課題

『潜頭性熱水鉱床の規模・品位探査に資する物理化学・生物観測技術の創出』